大型木造・非住宅木造建築コラムColumn

大型木造コラム1

炭素ストックという考え方

最近の環境用語で、大気、森林、海洋などに貯蔵される炭素の量のことをいいます。
諸説ありますが、二酸化炭素の増加による地球温暖化を食い止めたり、減少させるためには、森林の炭素ストック量を増やしていくことが効果的と言われています。
成長過程の若木は、より多くCO2を吸収し、O2(酸素)を放出し、C(炭素)を木材として、貯蔵していきます。
成長した木は、CO2の吸収が弱まるので、燃料として燃やすのではなく、建材として、木に炭素を貯蓄させたまま、長期間固定化し、またCO2吸収力の高い若い木を植え、循環させる、これが木造建築がもたらす環境効果の一つです。
産業革命以降、人間は、地中の石炭・石油をエネルギーと引き換えに、CO2を大気中に放出し続けています。これを樹木にストックさせ、さらに建材化させることで、大気中のCO2量の増加を食い止めたり、減らそうと有望視されています。
長寿命、身体に優しい、環境保全など、木造建築の良さは枚挙にいとまがありませんが、ヨーロッパを中心に進む、「脱炭素社会・低炭素社会」の概念に対して、今まで培われてきた日本の技術・文化や気候風土で最も応えやすい手段ではないか、と注目されています。
「何で大きな建物をわざわざ木造にするの?」「何で今さら木造なの?」という一つの答えでもあります。



大型木造コラム02

大型木造のコストの話①

「大型木造は高い」というお話をうかがいます。
確かに、今まで、建てられている大型木造は、大断面木材や、特殊な不燃加工の技術が施された部材が使われた、
木造ながら最先端技術を駆使した建物もあり、確かに建築費は高いだろうなあ、と思われます。
反面、私たちは、「大型木造は安い」と売りだしています。「そりゃそうでしょ木造なんだから」とも言われます。
「木造は、性能が劣るから、安物で、それは当たり前だ」というお話です。私たちが一番多く建てさせていただいているのは住宅で、木造の方が安いというのは、一般的なイメージだとも思われます。
「木より鉄やコンクリートの方が高級でいい材料だから高い」という訳ではないのは、このコラムをご覧いただいている方にはご理解いただけるかとも思いますが、ちょっと偏った意見になるかもしれないながら、すごく単純化すると、「同じ強度や性能を確保する為の材料の重さが軽いから安い」ということになると考えています。
先ほどの「大型木造は高い」となる場合は、集成材を多用する場合、とても重量的には重くなります。
木材は、単位重量当たりの強度は鉄やコンクリートよりもはるかに強いもので、建築に特に求められる引っ張りや曲げ方向の力にはかなり適正が高いので、同じ強度を持つための建物が、軽量で作り上げることが出来る為、そのように作ることができれば結果的に安くなる、というのが安さの大きな理由になります。
安い材料や、何か手抜きで、と思われる方も少ないのかもしれませんが、ご納得の理由になれば幸いです。


大型木造コラム03

大型木造ってそもそも大丈夫なの?-1

京都府向日市にある、弊社の本社ビル「SU・BA・CO(スバコ)」は鉄筋コンクリート1階、木造4階の計5階建ての木造ビルです。設計を始めた頃は、まだ西日本でも商業ビルとしての取り組みは初めてだったので、 「そもそもそんなこと(木造でビル)ができるの?」という質問を多くもらいました。確かに、新築としては珍しい取り組みだったのかもしれませんが、私たちは大きな木造は、たくさん見て知っています。例えば、京都・東寺の五重塔。全高で49メートルあります。奈良の東大寺・大仏殿は47メートル、清水寺の舞台は12メートル。弊社5階建てのビルで、15メートル。清水の舞台は、弊社の最上階、5階の床あたりになります。あまり、大きさ・高さのお話はしても大した意味がないこともご理解いただけますでしょうか。「当時とは使っている材料が違うだろう(お寺などの大きな柱・梁があるから丈夫)」とのお話も出ます。「もちろん、詳細な構造計算も耐震基準も、金物などの補強部材も違います」ともお答えします。
いつの間にか、木造は安くて、小型の建物を対象としている「イメージ」になってしまっていて、「長寿命・丈夫」という実績は薄くなっています。
是非一度、現代の大型木造を弊社に見に来て下さい。
きっと、大型木造への不安はすぐに払しょくいただけると思います。
建築中の現場もご案内していますので、お気軽にどうぞ!


大型木造コラム04

木造のメリットは軽量化にあり

単純に一般論として、材料や素材として考えた時、石や鉄より木の方が軽いのは想像に難くないかと思います。
建材や、構造材として考えた時も同じお話しで、木造の建築物は、鉄筋コンクリート造、鉄骨造は木造に比べて軽くなります。
軽い建築物のメリットとデメリットってどのようなものが考えられますでしょうか。 今回は一般的な災害となる地震と台風に対して考えてみます。
地震に対しては、重いか軽いか、というだけではなく、重さの偏りとバランスになります。例え話として、バレリーナとお相撲さん、しっかりとバランスをとった状態なら、足元が揺れても両方とも転ばずに耐えるでしょう。建物も同じです。
では、風に対してはというと、表面積と重さの問題なので、やはり軽いと不利にはなります。実はこれに関しては、大型木造といっても、風で吹き飛ぶほどの軽さではありません。寺社仏閣や、例えば、茅葺きなどの比較的軽量の屋根が使われている古民家などでも、風害はあまり聞くお話でないのは、そういう理由です。
先ほどのバレリーナとお相撲さんのお話の続きで、足の下にくる地面、もしくは靴には、重さの影響が出るのも想像に難くないかと思われます。
建物の下にくる、基礎や地盤の強度は、建物の重さの影響を大きく受けます。基礎の構造が軽くなったり、地盤補強が少なくなっていくのは、軽量化のメリットで、建築コストや、環境負荷、私たちが住んでいる京都では、基礎の深さが変わるので、埋蔵文化財なんかにも影響が生まれてきます。
鉄骨造から木造に変えたことで、基礎の深さが浅くなり、埋蔵文化財の調査が要らなくなり、コストも工期も「軽量化」された事例もあります。


大型木造コラム05

集成材は古くて新しい

大型の木造建築を考える際に、集成材は欠かすことはできません。
4階、5階と中層にする際も、また、大空間のお店やホール、学校・保育園などを作る際も、①現在は、お寺の大黒柱の様な木材の入手は、非常に困難なことと、②集成材にすることで、木の材料の不均一さが解消されるので、構造計算使える材料となる理由から、現在は、一定以上の大きさの木材は集成材に、ほぼなります。
私が社会人になってもう20年以上になりますが、学生の時からも当たり前にあり、なじみの材料ではありますが、世間一般にはまだ浸透していないのか、それともハイブリッド感がある外観のせいか、お客様には好き嫌いが出る時があります。 一番質問が多いのが、接着剤の強度や耐久性の問題で、新しい技術で、まだ実績が足りないのではないか、という視点のご意見が多いのでは、と感じます。
実際には、集成材に先立つ寄木(よせぎ)という技術は、10世紀ごろの仏像から、柱などを数本の木を接着して大断面を作る技術は1700年台からあり、それぞれ現存、機能している、とても古くからある技術だったりします。
もともと木材同士は、表面が粗く、摩擦力があるので、接着には向いていて、強度を出しやすい素材でもあります。
「エンジニアリングウッド」と呼ぶと新しく聞こえるかもしれませんが、古(いにしえ)の技術に端を発する技術や材料でもあります。


大型木造コラム06

材料の製造工程から考える

建材としての木材の原材料は、いうまでもなく、森、林に生えている木で、生えているのを切って、不要な部分を切り落として、幹の部分から、柱や梁の材料を切り出していきます。
では、コンクリートの材料は?コンクリートは、セメントと骨材となる砂利からできていますが、セメントは、石灰石などの原材料を1000度以上の高温で焼いて出来上がります。
では、鉄は、鉄鉱石とコークスという石を2000度以上の高温で溶かして出来上がります。
コンクリートと鉄に共通するのが「高温で」という部分です。石を焼いたり、溶かしたりしないとそれぞれの材料は、作り出すことができません。
木材も加工工程では、電気などのエネルギーを使うことにはもちろんなりますが、原材料の製造工程では、「高温で」の工程はもちろんなく、火を使いません。
当たり前の話ばかり書いていますが、以前書いた炭素ストックのお話とは別で、単純に原材料を作る過程でも、木材は火を使わない、言い換えるとCO2をより出しにくい建材、ということになります。
具体的な数値での算定は、実は日本でもされています。2階建ての木造住宅に対して、同規模の鉄骨プレハブだと2.9倍、鉄筋コンクリート造だと4.2倍のCO2が材料作成工程において排出されることが林野庁から発信されています。
できるだけ燃やさないで(CO2を出さないで)、という観点からも現代においては木造の優位性がうたわれたりもしています。


大型木造コラム07

大型木造のコストの話②

以前、「極端にいうと、軽いから安い」というお話を書かせていただきましたが、実は大型木造の軽さの理由は、木材が軽いから安い、だけではありません。
以前の引用ばかりで申し訳ありませんが、耐震性のお話で、お相撲さんとバレリーナのバランスのお話を書かせていただいたかと思いますが、当然体重が重ければ、足元は太く頑丈に、軽ければ負担は少ないので細くても十分、とはなっていきますが、これは、当然建物にも言えるお話で、建物の重量が軽くなれば、基礎の構造が軽く、地盤の補強が少なくなる為、コストは当然下がります。
また、木造のもう一つのメリットとして、住宅用の建材の活用がしやすい、というメリットもあります。ご存知のように木造住宅は、一番普及していて、国内で一番多く建てられている建物なので、ドア・サッシや外装部材などの木造住宅用の建材というのは、量産化が進んでいて、当然短納期、コストダウン、高性能化が進んでもいます。
短納期ということは、当然コストダウンにつながります。
これらをうまく活用することで、高性能ながらコストダウン、の両立ができるということも大型木造の大きなメリットになります。
これは、住宅建築で培ってきたリヴならではです。というセールストークでしめさせていただきます。


大型木造コラム08

海外事例は適材適所で

「メルボルンで10階建て」「ノルウェーで14階」
「カナダで30階」「スウェーデンで34階」
「なんと日本では70階!」
木造での高層建築は、競い合いの様に各国が競い合っています。
以前に書かせていただいた、炭素ストックの面から、諸外国でも木造化は、日本以上に進められています。
ただ、実際には、木造とは言いながらも、様々な部材をハイブリッドにしたもので構成されている、いわば「木質系構造」みたいな感じだと思います。
どうしても、ニュースバリューや見出しの面白さとして、「なんと、木で70階建て!そんなことできるの?」みたいに書かれています。
もっと曲がった読み方をすると、「一般的に、コンクリートや鉄よりも弱い木で、高層ビルを建ててしまう、というニュース-だからその先の記事も読まなくちゃ」と誘っているようにも感じてしまいます。
(かなり、被害妄想かもしれませんが・・・)
先日、カナダの大型木造に携わっていらっしゃる方とお話しする機会があり、「日本では、大型や高層の『木造』を木材だけで作ろうとしたり、他の材料を混ぜることを好まない感じがする。カナダでは、一棟の建物の中に、鉄骨も、コンクリートも一緒に使うことに抵抗や違和感はなく、一番主として使っている材料が木材だから、木造っていうぐらいの話だよ。適材適所が合理的でしょ。」とのお話をいただきました。
弊社も一階がお店の時などは鉄筋コンクリートとの混構造が2棟あり、自分の中ででも、全部木造で出来たかなあ、などと考えてしまっていたので、ハッとさせられました。
それぞれの材料のメリットを活かして、いいパフォーマンスの建物を作ること、
大型木造のホームページですが、あらためて考えてしまいました。


大型木造コラム09

実は火事に強い木造

強いというのは、「燃えない」という訳ではなく、
「燃えても人が死ぬ火災になりにくい」
「なんと日本では70階!」
「燃えて建物が倒壊するまでに時間がかかるので、人が避難しやすい」
という特性があります。
建物の防火は、中から燃える火災と、外から類焼をもらう場合の2パターンになります。 近年、大型建築物の火災は、外部の類焼までには、火をもらう建物からは避難できてるケースが多く、建物内部の火災が、人が亡くなる多いケースとなっています。
実際は、消防庁の資料では火傷による原因よりも、煙を吸ったり、一酸化炭素中毒で倒れてしまったり、などが死亡事故の多くの原因となっています。
鉄骨造や、鉄筋コンクリート造に使う発泡ウレタンなどの断熱材は、石油製品なので、燃えると黒い煙が出て、先ほどの原因となり、大型の建築物での火災は、よりその兆候が多くみられます。
また、木材は、鉄骨の溶解して崩れてしまう温度よりも長く耐える為、建物の下敷きになり亡くなってしまう懸念が少ないことも知られています。薪などの燃料としての木材の印象もあり、木材は確かに燃える材料なのですが、建材としての木材は、「火事になっても人に優しい材料」と考えてもらうこともできる材料です。


大型木造コラム10

国立競技場の「適材適所」

先日、東京オリンピックのメインスタジアムとなる、新国立競技場の施工状況が公開されていました。ニュースでも大きく取り上げられていたので、ご存知の方も多かったかと思われます。
国立競技場は木造、という印象は多いかもしれませんが、実際は、鉄骨とのハイブリッド造です。
日本の方はいわゆる「雑種」が嫌なのか、「木造」というからには上から下まで、全て木を使わなくては、と思いがちだと、カナダの方から以前伺ったというお話は、以前書かせていただきましたが、国立競技場は木材の特性を活かした、立派なハイブリッド造で、ちょっと、どうだ、と勝手に思ってしまっています。
単なる、見せるだけの材料でもなく、構造の役割も持たせてもいます。 徐々に、木材の耐火性能については、実験、検証も進んで、色々な所に使いやすくなってきて、より活用されていく傾向です。
そのテクノロジーは、競技場ができるにつれて、より様々な解説も出てくると思われますが、まずは、従来ではなかった、様々なジャンルに、構造材として木材が活用されていることは、規模ははるかに違いますが、とてもワクワクしますね。


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